療術

『療術』と書いて『りょうじゅつ』と読みます。

療術とは、国家資格である「鍼(はり)」「灸(きゅう)」「按摩(あんま)」「マッサージ」「指圧(しあつ)」「柔道整復(じゅうどうせいふく)」に属さない無資格医業類似行為
として、これまで認識されております。

療術は、法制化されていないため、昭和5年11月29日警視庁令第43号(療術行為に関する取締り規則)において、以下のように定義されております。

『第1条  本令に於いて療術行為と称するは、他の法令に於いて認められたる資格を有し、その範圏内に於いて為す診療又は施術を除くの外、疾病の治療又は保健の目的を以って、光、熱、器械器具、その他の物を使用し、若しくは応用し、又は、四肢を運用して他人に施術を為すを謂う。』

しかし、全国療術師協会の療術法制化運動によって、現在、その評価が変わって参りました。

それは、昭和35年の最高裁判所において、以下のような判決を受けたことによるところが大きいでしょう。

『療術行為は、人の健康に害を及ぼす虞(おそれ)のあるものでなければ、禁止処罰の対象とはならない。』

『有害性が立証されない限り、療術も禁止出来ない。』

これにより、全国療術師協会の厚生労働省との長年の交渉が実を結び、療術は厚生労働省の指導の下で、現在では以下のような立場に置かれている。

『療術は、国家資格であるハリ・きゅう・あん摩・マッサージ・指圧・柔道整復に属さない四種目(カイロプラクティック手技療法・電気療法・光線療法・温熱刺激療法)を用いて、厚生労働大臣許可 財団法人 全国療術研究財団の研修機関で所定の単位を修了し、厚生労働省の課した更新単位を取得後、同財団から3年更新制の認定証を取得した者で、厚生労働省医事課の療術師名簿に届出登録受理後、各県の保健医療福祉課の療術師名簿に届出登録受理している者が療術で業を行うことが出来る。』

これにより、届出無資格医業類似行為者として届出制療術師が誕生した。
現在、届出をしている療術院では、必ず全国療術研究財団の認定証と門標を掲げるように義務化されている。

 平成25年4月1日より、特例財団法人 全国療術研究財団が、一般財団化したため法制化運動に一様の終息が訪れた。

 この一般財団化によって、療術師単独の法制化は一段と難しいものとなり、現在、統合医療へ取り込まれる計画が進行中である。
 しかし、統合医療においては、科学的証明が難しいセラピーが多く、法制化にはまだまだ時間を要するようである。しかも、統合医療従事者の法的立場は弱く、現在の看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、介護福祉士よりも、下の位置に置かれる可能性が高く、医師の指導の下で業務をすることになるため、独立開業は認められないので、現在のような開業スタイルは維持できないと考えられる。

現在の動向